2014年度大学入試センター試験「地理B」 2014年1月19日 TOPへ
2014年度大学入試センター試験の「地理B」 は、昨年が「統計資料を読む」のに時間がかかったのに対し、例年よりも答えやすい問題が多かったのではないでしょうか。
2年生のみなさんは、来年に向けて、教科書や資料集、地図帳で確認してください。
また、日頃からテレビ、新聞などで、世界の国々の現況に興味をもってください。
とりあえず、問題を解いてみて、ポイント、感想をアップしてみます。
間違いがありましたら、メールで教えてください。
センター試験の問題と解答は、こちらを参考にしてください。
過去のセンター試験「地理B」分析は、こちら
第1問(世界の自然環境)
問1 プレートテクトニクスの問題。プレート境界とホットスポットが理解していれば、正解できます。
① ホットスポットの説明。水没したかつての火山島は、地図帳では「海山」として表記されています。
② 海域イは、大陸棚やバンクがみられ好漁場(北西太平洋漁場)となっています。「海溝がみられる」は誤り。
③ 南アメリカ大陸は、西岸にペルー海溝、チリ海溝がみられ、東岸に大陸棚がみられます。
④ 海域エには、インド洋中央海嶺がみられます。
問2 新期造山帯の位置がわかっていれば、正解できます。
上の図から、Aが「ク」、Bが「カ」、Cが「キ」となります。
問3 湖沼の成因や特徴を問う問題
Jの五大湖は、氷河湖で、水面標高は180m前後です。
Kのカスピ海は、構造湖で、水面標高は-28mの塩湖です。
Lのバイカル湖は、構造湖で、水面標高は456mです。最大水深は1741mで、最深の湖です。
代表的な湖沼はまとめておきましょう。
問4 成帯土壌の特徴と分布の問題
①は「ポドゾル」、②は「ラトソル」、③は「褐色森林土」、④は「砂漠土」です。
図の分布から、答えは③の「褐色森林土」です。
問5 気温の年較差と気温の年平均の問題
Rはメキシコシティー、Sはダブリン、Tはリヤド、Uはペキンでしょうか。
気温の年較差が最も小さく、年平均気温が約17度の①を高山都市のR(メキシコシティー)、
年平均気温が最も低く、気温の年較差も大きくない②を西岸海洋性気候のS(ダブリン)、
年平均気温が最も高い③を砂漠気候のT(リヤド)、
気温の年較差が最も大きく、年平均気温が約12度の④を冷帯気候のU(ペキン)、
と考えました。
問6 気候区の分布と降水量の問題
Xは、aがBW、bがH(ET)、cがCw、dがAwとなります。
Yは、aがAw、bがCw、cがBW、dがCsとなります。
b、cがわからなくても、それぞれのa、dがわかれば、北半球と南半球で季節が逆になることが理解できていれば、正解ができます。
Xの1月は、a~dの降水量がすべて少なくなるので、Xの1月は②となります。
Xの7月は、aの降水量が少なく、dの降水量が多くなるので、Xの7月は③となります。
Yは南半球で、1月が夏、7月が冬ですので、
a(Aw)の降水量が多く、d(Cs)の降水量が少ない①がYの1月、
a(Aw)の降水量が少なく、d(Cs)の降水量が①のdより多い④がXの7月、
となります。
第2問(世界の資源と産業)
問1 農業地域の成立に関する問題
ア 奴隷貿易によるプランテーション農業
イ 企業的放牧と冷凍船
ロ ナイル川流域の灌漑農業
問2 米の生産量と輸出量の問題
|
生産国(2010年) |
万トン |
% |
1 |
中国 |
19 721 | 29.3 |
2 |
インド |
12 062 | 17.9 |
3 |
インドネシア |
6 641 | 9.9 |
4 |
バングラデシュ |
4 936 | 7.3 |
5 |
ベトナム |
3 999 | 6.0 |
6 |
ミャンマー |
3 320 | 4.9 |
7 |
タイ |
3 160 | 4.7 |
8 |
フィリピン |
1 577 | 2.3 |
9 |
ブラジル |
1 131 | 1.7 |
10 |
アメリカ |
1 103 | 1.6 |
|
世界計 |
67 202 | 100.0 |
※日本の米の生産量は11位です。
|
輸出(2010年) |
万トン | % |
1 |
タイ | 894 | 27.3 |
2 |
ベトナム | 689 | 21.0 |
3 |
パキスタン | 418 | 12.8 |
4 |
アメリカ | 378 | 11.5 |
5 |
インド | 223 | 6.8 |
6 |
イタリア | 81 | 2.5 |
7 |
ウルグアイ | 63 | 1.9 |
『データブック オブ・ザ・ワールド2013』より
問3 鉱産資源の問題
カ…中国、オーストラリア、ブラジル、インドの産出量が多くなっているので、鉄鉱石です。
キ…南アフリカ、ペルー、インドネシア、ガーナの産出量が多くなっているので、金鉱です。
ク…メキシコ、ペルー、ボリビア、チリ、ポーランドの産出量が多くなっているので、銀鉱です。
問4 貿易(輸出品目)の問題
韓国は、かつて衣類の輸出が1位でした。
フィリピンは、1970年代まで日本の木材の輸入の50%を占めていましたが、日本企業によって採り尽くされてしまいました。
問5 産業立地の問題
オーストラリアは、ウラン鉱の産出が3位ですが、原子力発電をしていないので、「ウラン産地に原子力産業が立地し、発電用にウラン濃縮などの加工処理が行われている。」とは考えられません。
問6 金融都市の問題
イギリスは、EUに加盟していますが、単一通貨ユーロを導入していないので、③が誤りです。
EUについては、こちらを参照してください。
第3問(都市と生活文化)
問1 都市の人口の問題
授業では、人口800万人以上の都市を覚えるように言っていますが、今回は人口500万人以上の都市が問題となりました。
先進国は、都市人口率が高く、発展途上国は低くなっています。
オセアニアには、人口500万人以上の都市がないので、②がオセアニア、
人口500万人以上の都市が26もあるのが、アジア、
残りの①と④で、都市人口率が高い①がヨーロッパとなります。
『データブック オブ・ザ・ワールド2013』では、人口500万人以上の都市は、
ヨーロッパ…モスクワ(1151万人)、ロンドン(762万人)
アフリカ…ラゴス(973万人)、カイロ(771万人)、キンシャサ(727万人)
問題の「ヨーロッパ3都市」「アフリカ2都市」と異なっています。
都市人口率で、判断するしかないですね。気をつけましょう。
ちなみに、オセアニアで最も人口が多い都市は、シドニー(450万人)です。
問2 ロンドンの都市計画の問題
職住近接の田園都市構想→大ロンドン計画→ドックランズの再開発計画
問3 日本の都市の問題
昼夜間人口比率の最も高い「カ」→都市圏の中心都市(A)
昼夜間人口比率の最も低い「ク」→ニュータウン(B)
老齢人口割合が高い「キ」→大都市圏の外縁部にある地方都市(C)
問4 都市における施設の立地の問題
郊外の道路に並ぶ「サ」→大型小売店
中心市街地に集まっている「シ」→銀行
点在する「ス」→小学校
問5 都市の生活に関する問題
1~3月の平均光熱費が高→「北海道・東北」「中部」
これで、判断できます。
問6 都市における消費・余暇活動の問題
城壁に囲まれた旧市街地をもつ都市は、古代・中世に成立した都市がほとんどなので、南北アメリカ大陸やオーストラリアなど大航海時代以降に成立した都市には、城壁は見られません。
日本にも、城壁に囲まれた都市はありません。
第4問(西アジアとその周辺地域)
問1 集落(村落・都市)の分布の問題
首都が4つみられる②→B
斜めに集落が分布する④→C(ティグリス川、ユーフラテス川沿いに分布)
集落の分布が最も点在している①→D
集落の分布が最も密である③→A
問2 水資源の問題
海水などを脱塩処理した「淡水化水」は、機械で処理するものなので、一番量が少ない「ウ」と考えられます。
砂漠気候のサウジアラビアは、地表水が少なく、地下水が多いので、「ア」が地表水で、「イ」が地下水となります。
下のGoogle earthの画像は、サウジアラビアのセンターピボットです。
サウジアラビアには、農業に利用できる地下水があることが分かります。
問3 石油収入とGDPに関する問題
金融都市ドバイを有するアラブ首長国は、一人当たりのGDPが最も大きい「ク」と考えられる。
石油以外に産業がないサウジアラビアは、GDPに対する石油収入の割合が最も大きい「キ」と考えられる。
アメリカから経済制裁を受けているイランは、一人当たりのGDPが小さい「カ」と考えられる。
問4 ドバイ(アラブ首長国連邦)に関する問題
アラブ首長国の輸入品目の第5位が自動車である。
「西アジア最大の自動車生産・輸出拠点」は誤りです。
※西アジア最大の乗用車生産は、イランです。
問5 海峡に関する問題
P…ボスポラス海峡→ビザンツ帝国(コンスタンティノープル)、オスマン帝国(イスタンブール)
Q…ホルムズ海峡→石油輸送の大動脈
R…マンダブ海峡→海賊被害
問6 中東の政治・宗教・民族に関する問題
①アラブ民族主義指導者(ナセル、サダト)による近代化→エジプト
②シーア派の指導者→イラン
③スンナ派の王族による政教一致の王制→サウジアラビア
④政教分離、NATO加盟国→トルコ
第5問(現代世界の諸課題)
問1 森林面積の増減率に関する問題
①は、「適当でないもの」と考えました。
以前は、「用材採取などの目的で」伐採していましたが、現在は、アブラヤシのプランテーション農園のために伐採しています。
でも、違いましたね。考えすぎて間違った人もいるのではないでしょうか。
②のオーストラリアは、森林火災ですね。ニュースでよくききます。
⑤のフランスが「適当でないもの」ですが、私はよくわかりません。
問2 センターピボットの問題
センターピボットの写真ですから、②が答えとなります。
問3 鉱産資源の開発と利用に関する問題
アフリカのザンビアやコンゴ民主共和国で銅が多く産出されますが、それによって貧富の差は解消されていません。
問4 リサイクルに関する問題
大消費国アメリカは、「一人当たりの年間一般廃棄物発生量」が最も多いと考えられる→「ア」
リサイクルされる量の割合が最も大きいのがスウェーデン→「イ」
残った「ウ」がメキシコ
問5 医療費に関する問題
アメリカは、日本のように健康保険制度(国民皆保険)がありません。
「医療費に占める公的支出の割合」が小さく、「GDPに占める医療費の割合」が大きい「カ」が、アメリカと考えられます。
※オバマ大統領は、医療保険制度(オバマ・ケア)を成立させ、2014年から実施される。
日本のように、「医療費に占める公的支出の割合」が大きく、「GDPに占める医療費の割合」が小さい「キ」が、デンマークと考えられます。
残りの 「医療費に占める公的支出の割合」も「GDPに占める医療費の割合」も小さい「ク」が、インドと考えられます。
第6問(知多半島の地域調査)
問1 標高データから地形を読み取る問題
プリントアウトした画像が不鮮明で見にくいのですが、イの「北東から南西方向」が誤りなのでしょう。
問2 統計地図を読み取る問題
落ち着いて3つの統計地図を読み取ると、④が間違っているのが分かります。
問3 地形図を読む問題
ため池は残っているので、③が誤りです。
問4 空港で扱われる貨物に関する問題
半導体や精密機械、医薬品など軽くて高価なものは飛行機で輸送されます。
「半導体等電子部品」の割合が大きい「Z」→中部国際空港輸出
「自動車」の割合が大きい「Y」→名古屋港輸出品(トヨタ自動車)
「石油ガス類」「原油など」の割合が大きい「X」→名古屋港輸入品
問5 地域調査の方法に関する問題
2万5千分1の地形図から崖や斜面の「構造物」はわかりません。
問6 工業立地の問題
窯業は、原料指向型工業です。
焼き物に使える粘土が分布するところに窯業は成立します。
表1から、1事業所当たりの規模が小さいことが分かります。