2016年度大学入試センター試験「地理B」 2016年1月16日 TOPへ
2016年度大学入試センター試験の「地理B」 から、新課程の内容の試験となりましたが、旧課程の浪人生を配慮したためか、出題内容は例年と大きく変わっていません。予備校などの分析では、「難易度がやや易化」としていますが、私は判断に迷う問題が例年より多かったように思います。
2年生のみなさんは、来年に向けて、教科書や資料集、地図帳で確認してください。
また、日頃からテレビ、新聞などで、世界の国々の現況に興味をもってください。
とりあえず、問題を解いてみて、ポイント、感想をアップしてみます。
間違いがありましたら、メールで教えてください。
センター試験の問題と解答は、こちらを参考にしてください。
過去のセンター試験「地理B」分析は、こちら
第1問(世界の自然環境と自然災害)
問1 プレートの運動を理解していれば、ことができます。
A せばまる境界(海溝)→震源が深く、地震が多発→①
B 古期造山帯→地震がほぼない→④
C ハワイ諸島→ホットスポット→震源が集中→③
D ずれる境界→活断層(横ずれ断層)に沿って震源が分布→②
問2 火山と人間生活
火山…温泉、保養地、地熱発電、ミネラルウォーター
→ 「天然水阿蘇」「富士山のバナジウム天然水」「奥大山の天然水」など
噴火直後の火山灰→酸性→植物は育ちにくい
長い年月を経た火山灰→腐葉土などが蓄積して、豊かな農耕地
関東ローム層…関比較的新しいので農耕に適するほどには、腐葉土の土壌が蓄積していない→畑作には向いているが、稲作には向いていない
問3 植生
E BW~BW→無樹木→①
F Af~Af→熱帯雨林(背が高い)→④
G Aw~Aw→サバナ→③
H Aw~BS→サバナ~無樹木→②
問4 湖の成因
J チューリヒ湖…氷河湖→ウ
K 洞爺湖…カルデラ湖→ア
J、Kが決定し、残りのLがイになる。
L ワイカレモアナ湖…塞き止め湖→イ
問5 7月の降水量と風向…図に赤道を引き、北半球と南半球に分けて考える
降水量は、Aw、Csの地域で判断→7月の降水量…南半球は夏→ベネズエラはAwで、多雨→Y
風向きは難しい…地図帳の図と若干異なる→アマゾン川付近の風向きで判断か
問6 水資源
まず、国外水資源賦存量で判断→①(97%)、②(91%)→エジプト(ナイル川)、バングラデシュ(ガンジス川)
→エジプトは降水量が少ない、ナイル川は流量が少ない→1人当たりの水資源賦存量が少ない①がエジプト
第2問(世界の工業)
問1 アメリカとヨーロッパの工業地域
① 石炭立地の鉄鋼業…ピッツバーグ(アパラチア炭田)、バーミンガム(ミッドランド炭田・バーミンガム鉄山・鉄山炭田共存)
エッセン・ドルトムント(ルール炭田)
ビトム(シロンスク炭田)→ポーランドは、グダンスク、ワルシャワのほうが有名
② 原料立地の石油化学工業…ヒューストン(メキシコ湾岸油田)、ミドルスブラ(北海油田)
③ ウ…トゥールーズ(航空機産業・最終組立地・エアバス社)→自動車工業は誤り
④ 先端技術産業集積地…ボストン(エレクトロニクスハイウェー)、サンノゼ(シリコンバレー)、ロンドン、パリ
問2 工業立地
① アパレル…市場志向型
② アルミニウム工業…電力指向型
③ 電気機械工業…労働力指向型
④ ビール工業…市場志向型→原料指向型ではない
問3 工業に関する主題図
カ…ヨーロッパ、アメリカ、日本、中国、韓国→産業用ロボットの稼働台数
キ…中国、アメリカ、インド、ブラジル、ロシア、日本→工業部門の二酸化炭素排出量
ク…ヨーロッパ、アメリカ、日本→技術貿易の受取額
問4 工業付加価値額とGDPの内訳
製造業の雇用者1人当たりの工業付加価値額が大きい→スイス、日本、韓国
製造業の雇用者1人当たりの工業付加価値額が小さい→中国、メキシコ
GDPに占める鉱工業の割合が小さい(サービス業の割合が大きい)→スイス、日本
GDPに占める鉱工業の割合が大きい→中国、韓国、メキシコ
①スイス ②韓国 ③メキシコ ④中国
※メキシコ、中国は『世界国勢図会』で「GDPに占める鉱工業の割合」を確認した。
問5 国・地域間の貿易額
P…すべての国・地域に対して貿易赤字→アメリカ
Q…アメリカに対して貿易額が最も大きい→中国
R…日本に対して輸出入の貿易額がほぼ同じ→ASEAN
問6 世界の工業化と産業地域
① サハラ以南のアフリカ…重化学工業のコンビナートは発達していない
② 中央・南アメリカ…ベンチャービジネスの集積地域は発展していない。
③ 東南アジア…輸出加工区を設置し、輸入代替型から輸出指向型に転換し工業が発展
④ 正しい
第3問(都市・村落と生活文化)
問1 都市人口率と1人当たりGDP
① 1人当たりGDPが最も大きい、都市人口率が高い→イギリス
② 1人当たりGDPが高位、都市人口率が高い→アルゼンチン
③ 1人当たりGDP、都市人口率とも中位から高位へ→マレーシア(工業新興国)
④ 1人当たりGDP、都市人口率とも低い→ナイジェリア(発展途上国)
問2 都市の機能
① ターチン(大慶)…ターチン油田、石油関連産業→正しい
② ニース…避寒地、バカンス、観光保養都市
③ パナマシティ…太平洋とカリブ海を結ぶパナマ運河の太平洋側の交通都市 ※カリブ海側はコロン
④ モントリオール…ケベック州最大の都市(フランス系住民の中心都市)
→カナダ最大都市トロント(オンタリオ州・イギリス系住民の中心都市)との対立を避けるため首都オタワを建設
問3 人口約40万人の都市の構造
ア 都市の中心が高位→人口密度
イ 都市の中心と周辺が高位→老年人口の割合(昔からの市街地は老年人口の割合が大きい)
ウ 都市の中心が低位、都市の周辺が高位→農業・林業就業者割合
問4 村落の形態
散村…広い地域に民家が点々と散在している村落→農家の経営規模が大きい→④は誤り
成立の要因 ・水の制約が無い、どこでも水が得られる→自宅の周囲に耕地を配置→①
・共同作業・共同防御の必要性が小さい…治安の安定
・共同謀議をさせない(一揆の防止)
・延焼防止(強風地域)→屋敷林→②
・計画的(藩の政策) →直交する道路→①
問5 気候と伝統的な住居
① イグル―…イヌイット
② 北アフリカ(乾燥地域)…日干しレンガ、小さな窓→下線部は適当でない
③ 朝鮮半島…オンドル
④ 東南アジアの高温多湿地域…高床式住居
問6 南アジアの宗教
イスラム教の国→パキスタン、バングラデシュ→バングラデシュのほうがヒンドゥー教徒が多い
ヒンドゥー教の国→インド、ネパール
スリランカ→シンハラ人(仏教)とタミル人(ヒンドゥー教)の対立
①パキスタン ②バングラデシュ ③スリランカ ④ネパール
※ブータンは、チベット仏教
第4問(ヨーロッパの地誌)
問1 自然環境と土地利用
A…スコットランド地溝帯→④
B…ケスタ(パリ盆地)→②
C…ポー川、パダノベネタ平野→①
D…カルスト(スロベニア)→③
問2 ヨーロッパの都市
① ウィーン→L
② デュッセルドルフ→J
③ ストラスブール→K
④ ベオグラード→M
問3 ヨーロッパの農業指標
ア ベネルクス3国、デンマークが高位→集約的農業、園芸農業、酪農→農地面積1ha当たりの農業生産額
ウ 東ヨーロッパの国々が低位→農業人口1人当たりの農業生産額
残りのイが「農産物の輸出入比」と考えられる
問4 ヨーロッパの失業率
失業率20%台…スペイン、ギリシャ、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ
失業率10%台…イタリア、フランス、ポルトガル、クロアチア、スロバキア、ブルガリア
多くの国が外国人の失業率の方が高い
①オランダ、フランス→キ
②ギリシャ、スペイン→カ
③スイス、ノルウェー→ク
④ハンガリー、ポーランド→ケ ※2014年 ハンガリー7.7% ポーランド9.0%
問5 国内経済格差
サ 統一後の東西経済格差→ドイツ
シ 南北格差、北イタリアの工業の三角地帯、第三のイタリア、南部の臨海製鉄都市(タラント)→イタリア
ス 北部の繊維工業、南部の重工業→ベルギー→南部は衰退し治安も悪化→ISのテロの拠点に
問6 EU発足後のヨーロッパの地域経済
EUの債務危機後も域外からの直接投資残高(2009~2012年)は順調に拡大している(2014年EU統計局発表)。
→②誤り
第5問(インドと南アフリカの地誌)
問1 インドと南アフリカの農業
① カカオ栽培はAw気候で見られる。A、EはBW気候。→適当でない
② インドのBは夏に雨が多い。南アフリカのFはCs気候でブドウの栽培が見られる。→適当でない
③ C、GともBS気候で、綿花栽培がなされておる。→最も適当
④ ライ麦は冬作物として栽培される。→適当でない
問2 BRICSの輸出とGDP
ブラジル |
ロシア |
インド |
中国 |
南アフリカ |
|
輸出額に占める工業製品の割合(2014年) | 33.4% |
16.5% |
62.6% |
94.0% |
46.8% |
1人当たりGDP(2013年、ドル) | 11,199 |
14,680 |
1,548 |
6,626 |
6,936 |
①→中国 ②→インド ③→ブラジル ④→ロシア
問3 インドと南アフリカの鉱物資源
クロム鉱の産出(2012年)…南アフリカ(43.0%) カザフスタン(15.6%) インド(15.2%)
インドの輸出額(2014年)…石油製品(19.2%) ダイヤモンド(7.6%) 機械類(7.4%)
問4 インドと南アフリカの貿易
インドの貿易相手国(2014年)…アメリカ(13.4%) アラブ首長国(10.4%) 中国(4.2%)
南アフリカの貿易相手国(2014年)…中国(9.6%) アメリカ(7.1%) 日本(5.4%)
イギリス連邦…イギリスを含め53カ国(インド、南アフリカも加盟)
インドの公用語…ヒンディー語
南アフリカの公用語…ズールー誤、アフリカーンス語、英語
インド…1947年にイギリスから独立
問5 インドと南アフリカの社会
①~③は正しい→④が適当でない
第6問(地形図読図と地域調査)
「岩手県北上市」(地理院地図) http://maps.gsi.go.jp/#15/39.289605/141.120994