2017年度大学入試センター試験「地理B」 2017年1月14日実施   TOPへ

 2017年度大学入試センター試験「地理B」は、出題傾向は昨年と大きく変わっていません。昨年に比べ最後の2択で迷う問題が少なく、難易度は易化したと思います。

2年生のみなさんは、来年に向けて、教科書や資料集、地図帳で確認してください。

また、日頃からテレビ、新聞などで、世界の国々の現況に興味をもってください。

とりあえず、問題を解いてみて、ポイント、感想をアップしました。

間違いがありましたら、メールで教えてください。

センター試験の問題と解答は、こちらを参考にしてください。

過去のセンター試験「地理B」分析は、こちら

 

第1問(世界の自然環境と自然災害)

問1 海底地形…プレートの境界を理解していれば正解できる。

  A 大西洋中央海嶺が位置する→④

  B 伊豆・小笠原海溝が位置する→③

  C ニューギニア島がプレート境界で、オーストラリアとニューギニア島の間は大陸棚になっている→①

  D アリューシャン海溝に向かう太平洋プレート部→②

 「A three-dimensional map of the oceans」(Oceanography: Oceans)より作成

問2 海流と海氷の分布

 暖流と寒流の位置を理解すること。

 暖流が流れるところに、海氷に覆われにくい→K、M→⑤

 世界の海流図(暖流は赤、寒流は緑) 以下の地図より作成

 Ocean Currents and Sea Ice from Atlas of World Maps. United States Army Service Forces, Army Specialized Training Division. Army Service Forces Manual M-101. 1943

問3 気候(最寒月と最暖月の月平均気温、最少雨月と最多雨月)

  P…夏に降水量が少ない、最暖月が4地点で最も低い→Cs気候、沿岸に寒流→ウ(サンフランシスコ)

  Q…夏に降水量が少ない、最多雨月が4地点で最も多い(Csでは珍しい、地中海の島か?)→ア(ケルキラ、ギリシャのケルキラ島)

  R…気温の年較差が大きい、降水量が少ない→内陸の乾燥気候→イ(トルクメンバシ、トルクメニスタン)

  S…冬に降水量が多い、年較差が大きい→冬に雪(Cfa)→エ(ニューヨーク)→④(正解)

  気象庁の「世界の地点別平年値」で確認しよう→ケルキラトルクメンバシサンフランシスコニューヨーク 

問4 ベネチアの地形

  ク…陸繋島ではなく「三角州」である→③

問5 自然災害

  被害額が少ない→アフリカ(都市の自然災害が少ない)→Z

  被災者数が多い→アジア(地震、津波、火山噴火、台風、サイクロン、洪水など大規模な自然災害が発生している)→X

  残りのY→南北アメリカ→②

   ※日本以外のアジアの大規模地震

     2004年 スマトラ島沖地震→死者・行方不明者20万人以上(インド洋周辺国へ津波)

     2005年 パキスタン地震→死者8万人以上

     2008年 四川大地震→死者・行方不明者87,000人

問6 防災マップ読図

  ①を正解としてしまいそうですが、火山灰は「年間に最も多い風向きの場合」なので、サ地点も降灰する可能性がある。

  ④は、土石流の流れてくる範囲にあるので、「可能性が低い」は、適当でない。

第2問(資源と産業)

問1 日本の農業

  ④…下のグラフから「生鮮野菜の輸入量は伸びていない」とは言えない。

  「野菜の輸入状況 野菜輸入量の種別推移」より作成

問2 工業立地

  ①…「GDPに占める農林水産業の割合」最も大きい、「農林水産業従事者1人当たりの農地面積」小さい→アフリカ

  ②…「GDPに占める農林水産業の割合」大きい、「農林水産業従事者1人当たりの農地面積」最も小さい→アジア(正解)

  ③…「GDPに占める農林水産業の割合」小さい、「農林水産業従事者1人当たりの農地面積」大きい→北アメリカ

  ④…「GDPに占める農林水産業の割合」最も小さい、「農林水産業従事者1人当たりの農地面積」最も大きい→オセアニア

  ③、④の判別が難しい。正解に影響しないが、解答時に③、④を逆に考えた。

  『世界国勢図会』や『データブック オブ・ザ・ワールド』には、地域別の「GDPに占める農林水産業の割合」は載っていない。

  地域別の「農林水産業従事者1人当たりの農地面積(ha)」は、以下の通り。『世界国勢図会2016/17』 年次は2013年

   アジア…1.6  アフリカ…5.2  ヨーロッパ…23.1  北アメリカ…32.5  南アメリカ…24.4  オセアニア…123.3

問3 バイオマスエネルギー

  ③…バイオマスエネルギーは、「大規模な発電施設の開発」を必要としない。→③

     発展途上国のバイオマスエネルギーの比率は、先進国より高い。

   資料 [PDF]発展途上国のバイオマスエネルギーの実態と今後の普及見通し(滝沢 篤/藤田吾郎研究室・芝浦工業大学工学部)

問4 エネルギー輸入依存率と鉱工業就業人口の割合…「エネルギー輸入依存率」で判断

  ④…「エネルギー輸入依存率」がマイナス→エネルギー輸出国→オーストラリア

  ①…「エネルギー輸入依存率」が最も高い→日本

  ③…「エネルギー輸入依存率」が低い→イギリス(北海油田)

  ②…残りのドイツ(正解)

問5 石炭の生産量、輸出量、消費量

  ア…日本が上位8国→消費量

  ウ…中国、インドが上位8国に入っていない→輸出量

  イ…生産量→④(正解)

問6 世界の工業歳

  デトロイト…五大湖の水運、自動車産業→キ

  バンコク…日本の自動車産業の組立工場が稼働している→ク

  ロッテルダム(ユーロポート)…EUの玄関口、石油化学コンビナート→カ

  →④(正解)

第3問(都市・村落と生活文化)

問1 世界の地巣の景観

  ②…「庭や車庫を持つ低層の戸建て住宅地区」→富裕層→都市の郊外

問2 都市の機能と形態

  ① 長安…直交路型→誤り

  ② 江戸時代の主要街道の中継点や分岐点…宿場町→誤り

  ③ タウンシップ制…散村→誤り

  ④ マンチェスター(英)、エッセン(独)→産業革命、工業都市→正しい

問3 人口の偏在と1人当たり総生産の国内地域格差

  「1人当たり総生産の国内地域格差」…新興工業国は大きい

  「人口の偏在」…アネクメーネ(非居住地域)の比率の高い国は、偏在率がタ高い→オーストラリア→④

  ①…メキシコ ②…オランダ ③…南アフリカ と考えられる。

問4 市区町村別人口増加率

  西日本に住む者にとっては、難問。勘で⑤を答え、正解。

   →「人口が増加している市区町村は減少している」を判断材料とした。

  散村…広い地域に民家が点々と散在している村落→農家の経営規模が大きい→④は誤り

問5 統計地図の読図

  ③…「老年人口1,000人当たりの養護老人ホーム定員数」は三大都市圏で多くなっていない→誤り

第4問(中国)

問1 中国の地形

  A…ヒマラヤ山脈、チベット高原→氷河地形→モレーン→ウ

  B…ホワンツー(黄土)高原→レス→ア

  C…コイリン(桂林)→タワーカルスト→イ

  →④(正解)

問2 中国の気候(ハイサーグラフ)

  ① Dw→K(シェンヤン)

  ② Cfa→L(フーチョウ)

  ③ Cw→M(クンミン)(正解)

  ④ 気温の年較差が大きく、降水量が少ない(乾燥限界を計算するとDfだった)→J(ウルムチ)

 気象庁の「世界の地点別平年値」で確認しよう→シェンヤン  フーチョウ  クンミン  ウルムチ

問3 中国の農業

  省別の「生産量」ではなく、「作付面積」のためやや難問

  カ…南部→茶

  キ…内モンゴル自治州→イモ類

  残りのク→野菜

  →③(正解)

問4 中国の環境問題

  ④…「貿易風」ではなく「偏西風」

問5 中国の国内経済格差

  ①…中国では出身地によって「農村出身者戸籍」と「都市出身者戸籍」の種類があり、、両者には大きな格差がある。→誤り

     「農村出身者戸籍」…国から農地を配分されるが、転居や教育、年金などで実質的な制限を受けている。

     「都市出身者戸籍」…移動に制限がなく好きなところに住むことができ、年金や医療などの社会保障サービスも充実している。

  ②…都市部での冷蔵庫やカラーテレビの普及率は高い。→誤り

  ③…チンハイ(青海)省から四川省のチョンチン(重慶)まで石油のパイプラインが結ばれている。

     中国最大の油田は、黒龍江省のターチン(大慶)油田であったが、最近では「陝西省の長慶油田が最大の油田となった」と報じられた。

     →誤り

  ④…2006年に、青海省シーニン(西寧)とチベット自治区首府ラサ(拉薩)を結ぶ「青蔵鉄道」が全通した。→正しい(正解)

問6 少数民族問題

  初等中等教育では、各少数民族の言語を教授言語として原則保障されている。高等教育は、北京語。→①誤り

第5問(スペインとドイツ)

問1 地形と年降水量

  標高分布

   スペイン…イベリア半島の中央部にグアダラマ山脈→ア

   ドイツ…北部に北ドイツ平原→イ

  年降水量

   スペイン…地中海性気候(Cs)→年降水量多くない→A

   ドイツ…アルプス山麓は降水量が多い→B

問2 農作物の分布

  ③…ドイツにのみ分布→ライ麦

  ④…スペインにのみ分布→オリーブ

  ②…ドイツ南部に分布→ブドウ

  ①…ドイツ全域に分布→小麦

問3 スペインとドイツの都市

  旧東ドイツに大都市が少なく、北西部に工業都市が集中するので、上の図のように考える。

   ただし、『データブック オブ・ザ・ワールド』では、上位20都市にベルリン、ライプツィヒ、ドレスデンが入り、「3」となる。

  スペイン…マドリード(318万人) バルセロナ(160万人) バレンシア(78万人) セビリア(69万人) サラゴサ(67万人)

  ドイツ…ベルリン(342万人) ハンブルク(174万人) ミュンヘン(140万人) ケルン(103万人) フランクフルト(70万人)

   ドイツ最大の都市は首都ベルリンで、首都よりも、工業・金融都市のハンブルク、ミュンヘン、フランクフルトに日本企業は進出している。

    →Eがドイツ 

問4 スペイン、ドイツとEU諸国との貿易

  シ…すべての国に対して貿易黒字となっている→ドイツ

  サ…ドイツとの貿易額が最も多い→フランス

  ス…フランス、「セ」に対して輸出超過→スペイン(自動車の輸出)

  セ…輸出額が最も少ない→ポルトガル

問5 人口移動

  ①…スペインは南アジアを植民地支配していないので、南アジアから移民は少ない→誤り

  ②…ドイツはトルコからの移民が多い(ガストアルバイター)→正しい

  ③…ドイツは地中海沿岸でバカンスを楽しむ→正しい

  ④…スペインは観光客数が世界3位→正しい

第6問(壱岐島の地域調査)

問1 地勢図読図

  ①…地図中の「岳ノ辻」に219mの標高表示がある→誤り

問2 新旧地形図の読図

  ③…2006年の地形図には、渡船の地図記号が見られない。→正しい

問3 省略

問4 伝統的家屋

  「背戸山(せどのやま)」…風除けのためと、外敵が攻めてきたときに、家を隠すために作られた樹林。

   →農家の建物の向きは、南又は南東向きで、背後に背戸山がある。

   →③「冬の季節風を防ぐ」(正解)

  参考 「壱岐はこんなところ」(壱岐の自然と文化遺産研究保存会

問5 地域調査

  壱岐には、対馬海流(暖流)が流れている。

  「1経営体当たり漁船数」…1隻が93.6%を占める→漁家の経営規模は小さい

  →④

問6 統計地図の読図

  E…離島と長崎市が「高位」→居住する市町内で買い物をする割合

  F…離島が「高位」→小学校の複式学級率

  G…都市部が「高位」→人口1,000人当たりの医師数

  →①

問7 調査方法

  ③…アメダスは、 降水量、風向・風速、気温、日照時間の観測を自動的に行うもので、被災家屋や被災者の数を知ることはできない。→誤り

 

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