2019年度大学入試センター試験「地理B」 2019年1月19日実施 TOPへ
2019年度大学入試センター試験「地理B」は、出題傾向は昨年と大きく変わっていません。授業ではよく扱いますが、なじみの少ない国から出題されていますので、昨年よりやや難化したと思います。また、国の比較の問題が、昨年の3か国から2か国になりました。
2年生のみなさんは、来年に向けて、教科書や資料集、地図帳で確認してください。
また、日頃からテレビ、新聞などで、世界の国々の現況に興味をもってください。
とりあえず、問題を解いてみて、ポイント、感想をアップしました。
間違いがありましたら、メールで教えてください。
センター試験の問題と解答は、こちらを参考にしてください。
過去のセンター試験「地理B」分析は、こちら
第1問(世界の自然環境と自然災害)
問1 土壌と植生
地図帳の「世界の植生分布」「世界の土壌分布」で確認すること
① アの地域は、ラトソルで、熱帯雨林がみられる。→適当でない
② イの地域は、砂漠土で砂漠がみられる。
③ ウの地域は、褐色森林土で、混交林がみられる。
④ エの地域は、フィヨルド黒色土(パンパ土)で、温帯草原(湿潤パンパ)がみられる。
問2 地形断面は、頻出問題。世界の大地形をしっかりと把握すること。
該当箇所を、標高データ「SRTM3」(スペースシャトル地形データ3秒メッシュ)からカシミール3Dで作成。
線A(エチオピア高原)→③
線B(ウラル山脈)→②
線C(モンゴル高原)→➃
線D(アマゾン川流域)→①
問3 河川流量の年変化
エニセイ川・・・遅い春に一斉に雪解け→H
コンゴ川・・・赤道直下、Af気候、年中降水量が多い→F
ミシシッピ川・・・上流は冷帯、春に雪解け水→G
問4 ハイサーグラフ
カ、ケは北半球、キ、クは南半球であることに注目。
①、③のグラフは1月に気温が高いので、南半球のグラフ。
①はCs気候のグラフなので、キとなる。
③はCfb気候のグラフなので、クとなる。
②、➃のグラフは、7月に気温が高いので、北半球のグラフ。
②はCs気候のグラフなので、カとなる。
④はCfa気候のグラフなので、ケとなる。
問5 北極海の海氷分布
④年中海氷に覆われているグリーンランド北部は、東シベリアより海岸浸食の進行は著しくない。
問6 エルニーニョ
②卓越風(偏西風)の影響で東向きに進む。
「卓越風の影響で西向きに進む」は適当でない。
第2問(資源と産業)
問1 オリーブ、オレンジ類、コーヒー、トウモロコシの地域別生産
①北アメリカの割合が高い→トウモロコシ
②ヨーロッパの割合が高い→オリーブ
④ヨーロッパで生産がない→コーヒー
残った③がオレンジ類で、中国のオレンジ類の生産量は大きく増加している。
485万t(1990年)→2558万t(2016年)
問2 コーヒーの原産地
授業で、コーヒーの原産地は「エチオピア」と説明しました。
これは、設問にもあるように「アラビカ種」です。
「アラビカ種」は世界で最初に発見されたコーヒーの種類です。
コーヒーには、「ロブスタ種」もあり、コンゴ盆地が原産地です。
「ロブスタ種」は、ブラジル、インドネシア、ベトナムなどで生産されています。
問3 コーヒー豆の流通過程
➃コーヒーなどのプランテーション作物は、生産国よりも消費国にフードシステムを統括する拠点があり、
生産者の労働環境や所得水準を向上させることができない。→適当でない
⇒③フェアトレードの必要性
問4 牛乳、サトウキビ、テンサイの生産
②テンサイの生産量が「0」→ブラジル(寒冷な気候がない)
③サトウキビの生産量が「0」→ロシア(温暖で湿潤な気候が少ない)
牛乳の生産量が最も多い①がアメリカで、最も少ない④が日本
問5 インド、エチオピア、コートジボワール、ベトナムの輸出品目
①カカオ豆→コートジボワール
②コーヒー豆→エチオピア
③はきもの→ベトナム
④宝石(ダイヤモンド)・貴金属→インド
問6 産業別事業所数
ア・・・北海道、静岡、長崎の割合が高い→水産食料品製造業
イ・・・岩手の割合が高く、多くの都道府県に事業所が散在→牛乳処理場・乳製品工場
エ・・・三大都市圏の割合が高い→喫茶店
第3問(都市と村落、生活文化)
問1 パリの都市機能
ヨーロッパの都市は、都市の中心の歴史的な街並みはそのまま残し、都心の周辺を再開発する。
都市の郊外には、住宅地区を開発している。
ア・・・旧市街地の外側を再開発した新都心(ラ・デファンス)→B
イ・・・第二次世界大戦後に開発・整備された住宅地区→都市の郊外→A
ウ・・・旧市街地(マレ地区など)→都市の中心→C
問2 首都と都市機能
ソウルは典型的なプライメートシティで、韓国の人口の約2割がソウルに集中している。→②
※ 韓国の人口 5100万人 ソウルの人口 980万人
キャンベラと北京は、国の総人口に占める割合が低い。→①か➃
オーストラリアの人口 2400万人 キャンベラの人口 42万人
中国の人口 14億人 ペキンの人口 1億3000万人
キャンベラは典型的な政治機能の都市→④
ペキンは経済的な機能も持ち、国際会議も多い→①
残りの③がクアラルンプール
マレーシアの人口 3200万人 クアラルンプール 170万人
※人口は『データブック オブ・ザ・ワールド』を参考にし、統計年次は2018年である。
問3 都市の立地
ヴァラナシ・・・ヒンドゥー教の聖地→④
チョンチン・・・中国内陸部の長江水運の要所、経済・政治都市→①
ヤンゴン・・・エーヤワディー川の河口に立地するミャンマーの旧首都→②
リヴァプール・・・イギリスの産業革命とともに発展した貿易都市→③
問4 旧宗主国と宗教
①イタリア(カトリック)・リビア(イスラム教)
②オランダ(プロテスタント)・インドネシア(イスラム教)
③スペイン(カトリック)・アルゼンチン(カトリック)→正解
④フランス(カトリック)・ベトナム(仏教)
問5 村落・都市の発達
キ・・・条里集落(奈良時代)
ク・・・城下町(戦国時代)
カ・・・工業地域(第2次世界大戦後)
→④
問6 文化・レジャー施設や文化財の分布
シ・・・主要都市に分布→公立の劇場・音楽堂
サ・・・姫路にあって、北海道にない→国宝(建造物)
ス・・・知床半島、西表島にある→国立公園の広報・展示施設
第4問(地中海沿岸地域)
問1 地中海沿岸の自然環境
②ディナルアルプス山脈を超えてアドリア海に吹き降ろすのは、寒冷乾燥のボラである。→適当でない
問2 海峡の役割
④Dのボスポラス海峡を挟んでトルコ最大の都市イスタンブールが立地している。
ギリシャとトルコの国境ではない。→適当でない
問3 地中海沿岸の農業
カ・・・乾燥地域に分布→ナツメヤシ
ク・・・地中海沿岸→コルクガシ
キ・・・テンサイ
問4 アルジェリア、イスラエル、モロッコの輸出品目
アルジェリア・・・産油国→原材料と燃料の割合が高い→サ
イスラエル・・・工業製品(機械類・ダイヤモンド・医薬品・精密機械)→ス
モロッコ・・・食料品(野菜・果実・たこ・まぐろ)20%→シ
問5 都市の成り立ちと社会経済状況
①カイロ・・・イスラム文化圏の歴史的な都市の街路は迷路型になっている。
カイロの旧市街地は迷路型であるが、「新市街」は迷路型でない。
→適当でない
カイロ「旧市街」(Google Map)
カイロ「新市街」(Google Map)
②アテネ・・・ギリシャは、2009年の政権交代後、財政赤字の粉飾が明るみになり、ヨーロッパは債務危機に陥った。
→正しい
③モナコ・・・観光が主産業。世界有数の海岸保養地。フランスが防衛を保障。→正しい
④ジェノヴァ・・・トリノ、ミラノとともに北イタリアの工業三角地帯を形成。→正しい
問6 人の移動
①アルバニアはギリシャに隣接し、ジョージアは正教徒が多い。→ギリシャ
②ルーマニアは、ラテン系民族で、ルーマニア人はローマ人とトラキア系ダキア人の混血といわれている。→イタリア
③エクアドル、コロンビアの旧宗主国はスペイン→スペイン
④アルジェリアは、フランスの植民地で、フランスへの移民が多い。→アルジェリア
第5問(ウクライナとウズベキスタン)
問1 地形と気候
ウクライナ・・・東ヨーロッパ平原→イ Df気候→B
ウズベキスタン・・・東部はパミール高原の西部→ア BW気候・BS気候→A
問2 農産物と鉱産物
カ・・・ヒマワリ種子(1位)→ウクライナ
キ・・・綿花(6位)→ウズベキスタン
D・・・鉄鉱石(クリヴォイログ)、石炭(ドネツ)→ウクライナ
E・・・金鉱(9位)→ウズベキスタン
問3 経済の変化
①「市場経済から計画経済」への移行ではなく、「計画経済から市場経済」である。
旧ソ連諸国は、社会主義経済(計画経済)であった。→適当でない
問4 食生活と畜産業
サ・・・豚肉の生産量が少ない→ウズベキスタン(イスラム教徒の国で、豚肉を食べない。)
1人1日当たりの食料供給量の少ない「ス」が日本で、多い「シ」がウクライナ。
問5 言語と宗教
ウズベキスタン・・・ウズベク語はアルタイ語族で、トルコ語と同じ。→タ
ウズベキスタンはイスラム教の国で、寺院(モスク)の屋根は、ドーム型。→G
ウクライナ・・・ウクライナ語はスラブ語派で、ロシア語と同じ。→チ
ウクライナの宗教は、東方正教で、ネギ坊主の形の様な屋根の礼拝堂が特徴。→H
第6問(宮崎県・宮崎市の地域調査)
問1 時間距離
水戸市・・・「のぞみ」の運行により1時間の短縮→ア
佐賀市・・・山陽新幹線、九州新幹線の開通により所要時間は3時間に短縮→イ
宮崎市・・・山陽新幹線の開通で大幅に時間短縮したが、小倉・宮崎間は在来線のままのため6時間かかる→ウ
問2 気候と観光
③冬季の季節風は、南東からの季節風ではなく北西からの季節風。→適当でない
問3 自然環境と土地利用
C 高潮は台風襲来時に発生する。多雨期は、高潮ではなく高波よる冠水の可能性が高い。→適当でない
問4 新旧地形図読図
④海岸部の森林は、伐採されていない→適当でない
問5 統計地図の読み取り
カ・・・沿岸部に多い→黒潮の影響で温暖→早場米
キ・・・山間部に多い→乾燥シイタケ
ク・・・宮崎市周辺が多い→キュウリ
問6 主題図と写真の読み取り
図7・・・4月の段階で国道以外の場所でも消毒ポイントが設定されている。
→農場どうしが近接している度合いが高いと、感染してひろがるリスクが高いため。