2023年度大学入学共通テスト「地理B」 2023年1月14日実施   TOPへ

 2021年度から大学入学共通テストに変わりました。複数の資料を読み解く問題が多くなり、地理的知識だけでなく読解力が必要となり、問題を解くのに時間を要し、私は昨年、一昨年より難化したと思っています。今年は、問題を解くのに60分を超えてしまいました。年齢的なこともありますが。

2年生のみなさんは、来年に向けて、教科書や資料集、地図帳で確認してください。

特に、地図帳の「気候」や「世界の大地形」のページは、1分でもいいので、毎日見てほしいと思います。

また、日頃からテレビ、新聞などで、世界の国々の現況に興味をもってください。

とりあえず、問題を解いてみて、ポイント、感想をアップしました。

間違いがありましたら、メールで教えてください。

共通テストの問題と解答は、こちらを参考にしてください。

過去の共通テスト・センター試験「地理B」分析は、こちら

 

第1問(世界の自然環境・自然災害)

問1 大気の運動の時間・空間スケール

  多くの受験生は、最初の問題で「大気の運動のスケール」が出題されたので、戸惑ったのではないでしょうか。私も授業で「スケール」という考え方を授業でやっていないので、最初から問題を解くのに時間がかかってしまった。「空間スケール」はどれだけの空間に影響を与えているか、「時間スケール」はどれだけの期間影響を与えているか、と考えれば「1」が「低気圧・台風」、「2」が「モンスーン」、「3」が「エルニーニョ・ラニーニャ現象」、「4」が「地球温暖化」になる。

  「5–1 大気の運動の時間・空間スケール(地球惑星科学 II 第 5 回)」(北海道大学 大学院理学院 宇宙理学専攻)

問2 サンゴ礁と海流

 寒流が流れているところでは、サンゴ礁が見られないので、「イ」がサンゴ礁となる。

 海流の向きは、次の図から「AからB」となる。

 

問3 気温の年較差と日較差

 ヤクーツク(ロシア)は、日本と同じ北半球で、高緯度、内陸部で年較差が大きいので、「ク」になる。

 パース(オーストラリア)とラパス(ボリビア)は南半球なので、「カ」「キ」のどちらかになる。

 ラパスは標高が高い(4058m)ところに位置するので、日較差が大きい「キ」になる。

 残りの「カ」が、パースになる。

問4 大地形と自然災害

 「1」と「5」は、新期造山帯で火山が分布する。

 「2」「3」「4」は、安定陸塊で火山は分布しない。

 熱帯低気圧が頻繁に襲来するのは、「1」のみなので、

 「J・K」の両方が「1」、「Jのみ」が「5」となる。

問5 プレート境界と震源

 プレート境界から沈み込みの方向に離れるごとに、地震の震源は深くなる。

 「P」が「チ」、「Q」が「ツ」、「R」が「タ」となる。

 

問6 都市の浸水被害

  都市化によって「地表面が舗装される」ので、地面が降水を吸水することができず、都市内を流れる河川に降水がそのまま流れるため、短時間に河川の水位が上昇する。「マ」が「YからⅩ」、「ミ」が「n」になる。

第2問(資源と産業)

問1 三圃式農業と村落の形態

  図1は「春耕地」「秋耕地」「休閑地」があることから、三圃式農業を行っている村落であることがわかるので、「2」が正解となる。

問2 農業の土地生産性と灌漑農業

 東アジア、ヨーロッパ→土地生産性が高い(「2」、「3」)

  中国の乾燥地域では、灌漑による綿花や小麦の栽培が行われている。

  日本でも、洪積台地などで灌漑が行われている。

  →東アジアが「3」、ヨーロッパが「2」となる。

 アフリカ、中央・西アジア→土地生産性が低い

  中央・西アジアでは地下水路による灌漑が行われている。

  →中央・西アジアが「4」、アフリカが「1」となる。

問3 遺伝子組み換え作物

  「1」は「農薬の使用をなくし」が誤り。遺伝子組み換え作物(害虫抵抗性作物など)によって、農薬の使用量を削減することはできたが、農薬の使用をなくすまでにはなっていない。

  図3から、遺伝子組み換え作物の栽培国数は、OECD加盟国より発展途上国の方が多いことが分かるので、「2」は、誤り。

  インドは、企業的な大規模農業が行われていないので、「3」の「いずれの国でも」は誤り。

  オーストリア、ハンガリーには、「遺伝子組み換え作物栽培禁止令」がある。「4」は正しい。

問4 食肉の輸出

 「A」は、ニュージーランドが高位なので「羊肉」。

 「C」は、タイが高位なにで「鶏肉」。

 残りの「B」が、「牛肉」。※アルゼンチンが高位になっている。インドも高位。

問5 輸出入と輸送手段

  航空機は付加価値の高い製品を輸送するので、「航空輸送」の割合が大きいほうの「F」が、輸出額。複数の国と接しているフランスは、ポルトガルより「道路輸送」の割合が大きいと考えられる。「道路輸送」の割合が大きい「ア」がフランスになる。

問6 循環型社会

  ドイツと日本は、古紙回収率及び利用率が高い。2020年の統計で、日本の古紙回収率は84.3%、古紙利用率68.7%、ドイツの古紙回収率は81.0%、古紙利用率79.2%となっている。アメリカ、カナダは、森林資源が豊富で、パルプの生産量が多く、古紙の消費より、パルプの消費の方が多いと考えられる。よって、「X」より「Y」が多くなっている「キ」がドイツで、「Y」が古紙になる。「X」のパルプが圧倒的に多い「カ」がアメリカで、残りの「ク」がカナダになる。

第3問(村落・都市と人口)

問1 大都市圏への人口移動

  1960年にくらべ2018年に圧倒的に比率が高くなっている「A」が、東京圏(東京への一極集中)。1960年に約70%が「B」の大阪圏に移動している「イ」が、大阪圏に近い四国地方で、「ア」が九州になる。

問2 東京都区部の指標の変化

 1990年に指標が大きく変化(高く)なった「カ」が、住宅地の平均地価。

  →バブルによる地価の高騰。

 指標が減少し続ける「ク」が、工業地区の面積。

  →工場の郊外への移転。

 残りの「キ」が、「4階以上の建築物数」

問3 地方都市の変化

 

  鹿児島県の薩摩川内市である。「D」は駅前の商店街だが、郊外型の店舗(「F」)が進出し、シャッター商店街も見られる。「E」は、郊外に開発された新興住宅地である。

問4 統計地図の読図

  「2」の「三大都市圏における老年人口の増加傾向」は、「三大都市圏以外からの高齢者の流入」ではなく、「三大都市圏に住む人たちが65歳を迎え、老齢人口が増加」しているのである。人口の多い都市圏では、毎年65歳を迎える人数が多く、増加率が高くなっている。過疎の秋田県、高知県で老齢人口増加率が10%であるのに対し、埼玉県35%、千葉県34%、神奈川県34%、東京都24%となっている。都市圏での、医療、介護のニーズに答えられない問題が起こっている。

問5 少子化問題と労働力不足

  生産年齢人口が50%に近づくと従属人口指数が100に近づくことになる。2000年まで従属人口指数が90前後を推移する「4」が、年少人口の比率が高い(40%)エチオピア。2000年以降急速に従属人口指数が高くなる「1」が、超高齢社会の日本。変化の最も小さい「2」が、フランス(高齢化社会→高齢社会→超高齢社会のスピードが遅い)。残りの「3」が中国。中国は一人っ子政策の影響で、今後老齢人口の割合が大きくなり、従属人口指数が高くなる。

問6 国境を超える労働者

  東ヨーロッパの国々がEUに加盟したことにより、西ヨーロッパの国々は賃金の安い東ヨーロッパの国々の労働者を受け入れた。2005年、2019年に現れる「ム」がポーランド。「マ」「ミ」は、隣のアイルランド、旧植民地のインドの2択になるが、難しい。1990年に多い「マ」が隣のアイルランド。私は、逆を答えてしまった。

第4問(中国とインド)

問1 土地利用

  「A」は乾燥地帯、「B」は4000mを超える高原地帯、「D」は高原地帯なので、森林の比率の最も高い「3」は「C」になる。「4」は、「草地・裸地」の比率が最も高く、「耕地」の比率が最も低いのでチベット高原の「B」。「耕地」の比率が最も高い「1」が、綿花地帯のデカン高原「D」になる。残りの「2」は、「耕地」「草地・裸地」がほぼ同じ比率なので、乾燥地域で、とうもろこし、大豆の生産量が多い内モンゴル自治区の「A」になる。

問2 小麦と米の作付面積割合

 「b」…インド沿岸部、中国南部、黒竜江省→米→「ア」

 「c」…華北、シンチャンウイグル自治区→小麦→「ウ」

問3 人口問題

  インドは、政府主導で家族計画を進めたが、宗教の影響で十分に浸透することができなかった。「3」の「農村部を中心に出生率が大きく低下した」は誤り。

問4 産業別GDPの割合

  2000年の比率が高いほうの「サ」が、「農林水産業」である。「鉱工業」の比率が高いほうの「K」が中国になる。

問5 輸出額と移民の送出数

  2019年のオーストラリアから「チ」に太い矢印が出ている「Q」が輸出額で、「チ」がオーストラリアの輸出額の約40%を占める中国となる。

問6 シベリア気団とpm2.5

  シベリア気団が強い1月は北西の風が吹いており、中国から日本にpm2.5はあまり流れてこない。よって、「S」が1月になる。原因となる物質が複数の国にまたがって拡大していく環境問題は、海洋汚染の「海洋ごみの漂着」の「ミ」である。

第5問(利根川下流域の地域調査)

問1 利根川流域の判定と標高差の計算

 地図から利根川本流と繋がっているのは、「B」と「C」。佐原と取手は、地図から約40kmの距離がある。

 標高差は、40,000m×1/10,000=4m

問2 陰影図の読図

 

  E→1

 

  F→2

 

  G→4

 

  H→3

問3 都市の発展と交通手段の変遷

 今昔マップで確認しよう。

 

  1931年の地形図では「a」は田にあたるので、古くから中心地として発達したのは「b」になる。橋が建設されるとともに、渡船は廃止されるので、「ス」が1981年の渡船。数の少ない「サ」が1932年の橋で、数の多い「シ」が1981年の橋になる。

問4 佐原周辺の水害とその対策施設

  利根川本流から支流への逆流による水害を防ぐための水害対策施設なので、利根川本流に近い「チ」に水害対策施設は設置されている。大きな河川の下流では、外水氾濫を防ぐために、「f」の「決壊を防ぐため、堤防を補強する」取り組みが行われている。

問5 日本国内のウナギの供給量の推移と利根川流域のウナギの水産資源回復の取組み

  1985年以降「マ」より供給量が多い「ミ」が輸入で、「マ」が国内の養殖生産である。2000年の輸入量(ヨーロッパうなぎ)がピークで、ヨーロッパうなぎの資源の減少とともに、貿易取引が制限され(ワシントン条約)、輸入量も減少している。利根川の下流域の堰には、「緩勾配式魚道」が設置されている。

 「ウナギをめぐる状況と対策について」(水産庁)

 「魚道の整備」国土交通省 関東地方整備局 利根川下流河川事務所)

問6 調査方法

  人口の変化から防災意識の変化は分からないので、「3」が誤り。

 

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